正月に食べる代表的な料理のひとつ「お雑煮」。
いろいろな具材を混ぜ合わせて作る「煮雑ぜ」が語源と言われている。 お雑煮とは、と説明したところだが、地域ごと、家庭ごとに具材や作り方が異なり、これだと伝えられないのも特徴のひとつだ。
餅を主たる具材とし、出汁を醤油、塩、味噌などで味をととのえ食べる日本の郷土料理であるが、具材の種類、味付けは、別物かと思うくらい、地域ごとに異なるのだ。 ある地域ではカツオと昆布だしをすまし汁仕立てにし、鶏肉、飾り切りした人参、大根、三つ葉を飾り、香りづけにゆずの皮をひとかけ。餅はたくさん食べられるよう四角い餅を入れる。 ある地域では白味噌仕立ての汁に円満を願う縁起物として丸餅を入れる。具は里芋、人参、餅とシンプルに。 ある地域では甘く炊かれたあんこの入った丸餅を雑煮に入れる文化がある。
雑煮の作り方で一論争が勃発するほど、地域色の強い食べ物なのだ。作り方だけではなく、雑煮を食べる器にも注目したい。 蓋のついた漆器の雑煮椀に盛り付けると、正月のめでたい日にふさわしい品格となる。
正月は雑煮だけあればよい、そんな人もいるくらい馴染みのある郷土料理、それが雑煮だ。